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平成19年9月21日 神田雑学大学講座…No376



奥能登の伝統ゲーム

「ごいた」を楽しもう

講 師 草場 純

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はじめに

「ごいた」のルーツ

「ごいた保存会」

「ごいた」のルール



はじめに

講師:草場 純さん 草場です。小学校にを32年勤めましたが、目を悪くして退職しました。それ以降は遊びながら、もともと趣味であった世界のゲームの研究をしています。今年12月に、主婦の友社からトランプの遊び方の本を出版する予定です。

本題の「ごいた」は石川県鳳珠(ふげし)郡能登町宇出津(うしつ)に伝わる伝統ゲーム です。輪島に近いこの町は人口3千人の漁師町です。
天候が悪くて海が荒れると、漁師さんは、漁に出られない日などに、集まって「ごいた」をやって過ごすのだそうです。

世に馬には乗ってみろ、人には添うて見よといいますが、ゲームはやってみなければ判らないものです。本日はぜひ実地に体験して、ゲームの楽しみを体得して下さい。

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「ごいた」のルーツ

「ごいた」は、日本中各地にある「受け将棋」と呼ばれる独特の系統のゲームの発展系 と思われ、明治期に完成しました。ごいたは明治時代から盛んに行われて現在にいたっており、その語源や、いつ誰が考え出して広めたものかについては、はっきりとした資料などは残っていません。

しかし、言い伝えや古老の話によると、創案者とおぼしき人物が二人浮かんできます。その一人は、宇出津新町の通称「布清」と呼ばれる商家の先々代・布浦清右衛門(ぬのうらせいようもん)で、明治40年ごろに作ったと言われています。

この人は集魚灯を考案したり、また能登に初めて造花技術をもたらしたほどの発明家で あったそうです。そのうえ絵や書をよくたしなみ、加えて無類の将棋好きで、この遊び を考えて広めたということです。

越中・越後路の旅で何かこれに似た将棋遊びを 見て、それにヒントを得て、手を加えて編み出したものでないかとも言われています。 ともかく、今も「布清」付近の浜小路や田町から天保島町内あたりの漁師その他の人たちに伝えられ、今日に至っています。

いま一人は、同じく明治の人で、宇出津の棚木に住んでいた通称「三右衛門」であると 言われています。この人は勝負事には至って研究熱心な遊び人だったので、この遊びを 編み出したのではなかろうかとも言われ、また、前記「布清」さんの始めた遊びに長け ていたのでそう言われているのかも知れません。

今も棚木や新村方面の漁師その他の人 たちの間で盛んに行われているのは、その故であるという説があります。  以上のことで、この二人が「ごいた」普及に何らかのかかわりがあったことは明白な ようです。それ以前の記録や言い伝えは聞かないので、こうして始まったものではないかと考えられています。

一方、明治初期には「芋将棋」と言われるカードが京都のかるた屋から市販され、各地 にその後裔が残っています。これはごいたと同じシステムのゲームと思われます。 現在ごいたと同じシステムと言われるゲームには、以下のものがあります。 青冠、色冠、黒大黒、丸将棋、ゴンパ、色天、ぺちゃ五枚、黒合わせ、キッテーノ、揚がり駒、芋将棋、受け将棋、あいごまかるた、将棋かるた。

これらのルーツとして、中国の長天なども考えられないこともないないのですが、あま り他国に例のない独特のゲーム類です。その特徴は、攻撃されたのと同じ種類を1枚出して受け、受けられたらもう一枚出して攻撃するという点にあります。要するに手番に2枚ずつ出していくわけです。そして、受けられなかったときどうなるかによって、いくつかのパターンがあります。それが、上記のように様々な種類のある理由の一つでもあります。

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「ごいた保存会」

石川県能登町字宇出津には、碁盤の上で将棋駒を使ってやる「ごいた」が明治期に完成 し、竹駒を自作して盛んにプレーされました。 1999年に保存会が発足。以後定期的に大会を開催しています。 2006年に東京にてカ一ドごいたが完成(実は私が作りました)。月例会が実施されていま す。

来週9月26日(水)には、能登町から「ごいた保存会」の11人がわざわざ東京へお出くださいます。我々は迎え討とうとしていますが、こちらの人数が足りなそうなので、今日の結果で面白そうだと思う方がおられたら、ぜひ加勢してください。(総勢35人となって盛り上がりました。)

独特で簡単な原理で、だれでも楽しく遊べるゲームとして、またペア戦の少ない日本の ゲーム類にあって、ペア戦を実践できる貴重なゲームとして、ごいたの発展を願っています。ルールは簡単で、スピーディでありながら敵の手を読む楽しさも味わえ、家族でも楽しめます。
では「ごいた」のルールを学びながら、みんなで簡単な試合をやってみましょう。

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「ごいた」のルール

習いながらゲームをしている所 ごいたは、石川県能都町宇出津に伝わる伝統ゲームです。本来は将棋の駒様の道具を用 い、碁盤の上でプレーするものです。このカードは、普及のためにカード仕様にしたもので、ルールは本来のごいたと同様ですが、感触は同じとはいきません。本来の感触を味わってプレーしてみたい場合は、ごいた保存会に連絡してみて下さい。

1.人数…4人(ペア戦)

2.用具

カード…32枚 チップ…10点チッブ8枚と、50点チップ5枚あれば十分です。紙に書いて記録してよい。

3.駒の種類と枚数(括弧内はあがり点)

8種32枚
王「おう」…2枚(50点)、飛「ひしゃ」…2枚(40点)、角「かく」…2枚(40点)
金「きん」…4枚(30点)、銀「ぎん」…4枚(30点)、馬「ばっこ」…4枚(20点)
香「ごん」・・4枚(20点)、し「ふ」…10枚(10点)。

4.席決め

カードを引いてペアと席を決める。例えば、全てのカードから王2枚と歩2枚を選び出 し、伏せて混ぜて一人1枚引き、王どうし、歩どうしが組む。これは一方が1ゲーム(150点)取るまでは変わらない。

5.ディール

王(玉でなく)を引いた人が親となる。
親はカードをよく切り混ぜ、右隣りから順に1枚ずつ反時計回りに8周、一人8枚ずつになるように配る。
手役(後述)の有無を確認してから、親から打ち出す。


6.プレー

親はまず任意の手札(Aとする)を一枚伏せ、次に任意の手札(Bとする)を一枚表にし出す。(B=Aでもかまわない。)これを「打ち出し」と言う。
親の右隣りは、親と同じ種類の手札、つまりBを表にして出し(これを「受ける」一と言う)、すきな手札Cを出す.(これを「攻める」と言う。ここで、C=Bでもかまない。)ただし、手札に受げる札Bがないとき、あるいはあっても出したくないときは「なし」と言ってパスしてもよい。

以下その右隣(親のパートナー)はCとD、その右隣はDとE、親はEとF、…というよ うに、尻取り方式で続けていく。言い換えれば、攻められた札と同じ種類(王は例外的に飛角金銀馬を受けられる)の札を手札から出して受け、受けられたら任意の手札で攻める、と言うことになる。

直前の人がパスをした場合は、その前の札を受ける。ただし、自分が攻めたあと三人連 続してパスした場合は例外で、今攻めた人が再び一枚伏せて出し(これは何でもよい)、その後すきな手札で攻める。 結局、パスしなければ、手札は手番に2枚ずつ減ることになる。

7.あがり

このようにして、人のうち最初に手駒の最後を出した人が、「あがり」で、その人のペァ が、その最後に出された駒のあがり点を得る。このあがった人が、次のディールの親になる。

8.終了

これを繰り返して一方のペァが150点(以上)に達したら、そのペァの勝利で終了。

9.駒の性格

グループに別れてゲームをしている全体写真 基本的に、特定の駒の攻めは同じ駒で受けるが、王だけは飛・角・金・銀・馬を受けら れる。ただし、王は香と歩(し)は、受けられないし、王で受ける(可能性がある)ような攻めをしてはいけない。

(具体的には、王を2枚とも自分で持っているか、既に1枚がプレーされたあとでないと、王で攻めてはいけない。) また、王には「王」と「玉」(だま)があるが、同じものとして扱う。

10.手役と特別なあがり

手札が配られた段階で、手札に歩(し)が5枚あったら発表し、配り直しを要求する。このときパートナーもまた歩(し)が5枚手にあったら、そのペアが1ゲームに勝利する。それ以外の場合で、配り直す場合には、親は今と同じ人が務める。ただし、5枚のしがあっても、パートナーが配りなおしに反対したら、プレーに入る。

手札に歩(し)が6枚あったら、残りの2枚のあがり点のうち、多い方を得る。これは手役 なのでプレーはしない。次の親は、その手役のできた人がなる。この点は7枚以上も同じ。 手札に歩(し)が7枚あったら、残りの1枚のあがり点の2倍を得る。 手札に歩(し)が8枚あったら、100点を得る。

あがるとき、自分がプレーし、残りの三人がパスをした後、同じ駒2枚であがると、あがり点が2倍になる。例えば金金であがれば、60点。(金で受けて金であがるような場合は、2倍にはならない。この例の場合のあがり点は本来の30点。)
ルールは以上です。

 日本各地には、ごいたに限らず、様々な伝統ゲームが細々と残っています。それらは、失われるにああまりに惜しい日本の文化遺産です。なんとか盛んにし、後代や世界に伝えていきたいと思っています。
終わり  


文責:三上 卓治  写真撮影:橋本 曜  HTML制作:上野 治子


本文はここまでです


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